3月 09

日本の医療を輸出産業へ

1,起こりうる国民皆保険の崩壊
・日本の現状
・国民皆保険の歴史
・国民皆保険は現在の日本に適しているのか
・本当に不足しているのは何か

2,医療産業がもつポテンシャル
・病院の現状
・「病院がトヨタを超える日」とは

3,崩壊から救うには~理想の医療~
・病院を株式会社へ
・フィンランド・社会保険庁の「国民電子カルテネットワーク」
・日本のショールーム カンボジアプロジェクト

3月 09

起こりうる国民皆保険の崩壊

日本の現状

総人口:約1億2798万1千人(http://www.stat.go.jp/data/jinsui/pdf/201107.pdf

0~14歳人口は 1694万1千人で,総人口に占める割合は 13.2%
15
~64歳人口は 8143万7千人で,総人口に占める割合は 63.6%:生産年齢人口
65
歳以上人口は 2960万3千人で,総人口に占める割合は 23.1%:高齢者

我が国は世界の主要先進国の中で最も高齢化が進んでおり、今後も一層の高齢化が見込まれています。65歳以上の人口が2005年に世界で最も高い20.1%となり、2050年にはその約2倍の39.6%になると言われています。これは2位ドイツの28.4%に10%の大差をつける数字です。(人口調査は5年周期)!!このソース!!

そして、生産年齢人口(15~64歳人口)の割合は, 1990年ごろに低下し始め、2005年では65.8%ですが、2050年には51.8%になると予想されています。つまり、2005年では生産年齢者3人につき高齢者1人を支える形ですが、2050年には1.3人で1人の高齢者を支えることになるということです。なお、これは老年人口のみを勘案した結果であり、年少人口も合わせれば、2050年時点でほぼ1対1の扶養関係となります。参考資料

1960年                2010年              2050年

参考資料

政府債務残高の名目GDP比が過去120年で最悪の水準

現在、日本の債務残高の名目GDP比は主要国の中でずば抜けて高く、212.7%となっています。これは財政危機にあるギリシャの約2倍の値です。それでもまだ日本政府の財政が破綻していないのは、日本人がもつ個人金融資産が1471兆円あり、国債のほとんどを国内の金融機関や個人などが金融資産を使ってまかなっているという、いわば家の中で貸し借りしている状態だからです。しかし、3~4年後には国内で国債をまかない切れるだけの金融資産を維持できなくなると言われています。これをどうにか食い止めることはできないのでしょうか?

また、個人金融資産の年齢階級別のシェアをみると、金融資産の60.0%を60歳以上の高齢者が保有していると言われています。高齢者は若者よりも所得があっても買いたいもの、買わなければならないものが若者より少なく、結果貯蓄をし、市場にお金が出回らなくなったのです。

債務残高の国際比較
我が国の政府債務残高の名目GDP等に対する推移

 

 

 

3月 09

起こりうる国民皆保険の崩壊2

国民皆保険の歴史

 日本の医療について語るとき、まず出てくるのが国民皆保険制度です。このような制度がないアメリカでは、保険未加入の低所得者が高額な医療費を支払えず、家具・家電から始まり、ついには家を売って、病気が治るころにはホームレスになってしまったというようなエピソードをよく耳にします。
「患者の所得に応じて不公平な医療を行う先進諸国に対し、日本の国民皆保険は我が国の宝である。これを維持しつつ、更なる効率化をはかり、医療の質を上げていこう」と厚生労働省は述べています。

この国民皆保険はどのようにしてできたのでしょうか?

万が一病気になったときに備えて皆でお金を出し合い、医療にかかる費用の一部又は全部をそこから拠出する医療保険の仕組みとして、労働者を対象とした健康保険法が1922年に制定され、農民等を対象とした国民健康保険法が1938年に制定されました。
しかしその後、1939年から1945年にかけて、第二次世界大戦が起こります。戦災で多くの医療施設が破壊・閉鎖され、医療従事者の不足や、食糧・医薬品・衛生材料の不足、保険事業を休廃止する組合の続出、と戦後の日本の医療は悲惨なものとなりました。この状況を改善するため、政府は、1961年に国民誰もが一定の自己負担で必要な医療を受けることができる国民皆保険制度を制定。診療報酬を一定化し、医療を非営利化しました。
日本人の持ち前の勤勉さと道徳観の高さにより、日本の医療は大きく進歩し、今や世界一の寿命の長さと、がん死亡率の低さを実現しました。
http://www.stat.go.jp/data/kokusei/2010/kouhou/useful/u01_z24.htm

 

国民皆保険は今の日本に適しているのか?

先ほども述べましたが、国民保険成立時と現在とでは人口構成が違います。
現在は被扶養者に対して、扶養者の数が多すぎるのです。
さらに、厚生労働省の2008年度患者調査によると、全患者数の48.5%が65歳以上、つまり高齢者であることがわかっています。(全人口に対する高齢者の割合は22.10%)

(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/08/dl/01.pdf)
生産年齢人口は43.5%(全人口に対する生産年齢人口の割合は64%)しかおらず、やはり、国民皆保険料を多く使っているのは高齢者なのです。
※すみませんさっき値間違ってました(>_<)

国民皆保険により医療費が安く抑えられたことで、医療需要が高まり、結果として日本の医療は世界一と言われるまでになりました。
しかし、時代が変わった今、はたしてこの制度は存続すべき国の宝でしょうか?

私はそうは思いません。

3月 09

起こりうる国民皆保険の崩壊3

本当に不足しているのは何か

日本の医療問題として、医師不足が声高に叫ばれています。たしかに医師は不足しているのかもしれませんが、総数の問題というよりも診療科の偏在、地域による偏在の問題です。その対策として、医学部入試に地域枠、診療科の限定による奨学金制度が取り入れられましたが、今同時に、増員も行われています。過去にも、医師不足だと医学部定員を増員したことがあり、1984年に定員数は8280人となりました。その後、医師過剰だと定員数は減らされました。しかし2007年にふたたび増員が始まり、2012年度の定員は1984年を超える8991人となりました。これは正しかったのでしょうか?

以下、全国自治体病院協議会による2009年度の病院経営実態調査報告の概要からの引用です。

今回の調査において回答のあった病院1,162病院のうち31.2%(362病院)の病院が黒字となっていて、赤字病院数の割合は68.8%(800病院)であった。これを年次別にみると図5のようになっている。
開設者別でみると、自治体病院584病院のうち8.6%(50病院)が黒字となっていて、赤字病院は91.4%(534病院)であった。(この場合、不採算部門等の医療に対し、地方公営企業法に基づき地方公共団体が負担すべきものとされている負担金等は総収益から除いて仮定計算を行っているため、法令に基づく病院決算時点での黒字・赤字とは異なる。)その他公的病院では、255病院のうち52.5%(134病院)が黒字となっていて、赤字病院は47.5%(121病院)であり、私的病院では、323病院のうち55.1%(178病院)が黒字となっていて、赤字病院は44.9%(145病院)であった。
引用元(
http://www.jmha.or.jp/statis/109jittai.pdf)

赤字となっている約7割の病院はこれ以上医師を雇うことはできないでしょう。黒字となっている病院でも、利率は1.0~1.3程度だそうです(ネットデータなし)。また、病院の支出の約5割が人件費であることから、これ以上医師を雇えないということが分かると思います。

つまり、本当に足りていないのはお金なのです。

このことは、海外の経済状況と比べてみてもわかります。以下、財務省のレポートより引用

http://www.mof.go.jp/pri/research/special_report/f01_2011_02.pdf

Health Dataの最新版(2010年10月)によれば。2008年における、総医療費*5)対GDP比のOECD平均は8.9%であった(図5)。日本は8.1%と、平均よりも低い水準となっている。また、総医療費に占める公的医療費(政府及び社会保障基金から支出される医療費)の割合は、OECD平均は72.1%であり、日本は81.9%と加盟国の中でも上位の水準であった。すなわち、日本の医療費は、国際的にみると相対的に低い費用で制度運営が行われている一方で、財政的な支出により提供されているサービスの割合が大きいことが分かる。

さらに、国民1人当たりの年間受診回数については、上記表にて日本より上位の国をすべて抜いて1位となっています。(OECD Health Data 2010より)

超高齢化国であり患者数が多く、さらに年間受診数が多いにも関わらず総医療費の対GDP比が低いのは、やはり国民皆保険によって採算を度外視した安さで、医療が提供されているからに他ならないのです。

3月 08

医療産業がもつポテンシャル

病院の現状

総医療費を抑えているものとして、皆保険制度のほかに、診療報酬点数制と医療法が挙げられます。

医療法第7条5項 営利を目的として、病院、診療所又は助産所を開設しようとする者に対しては、前項の規定にかかわらず、開設の許可を与えないことができる。

第54条 医療法人は、剰余金の配当をしてはならない。

医療は非営利的であるべきで剰余金の配当をしてはならない、という規制により、病院は投資を受けられない状況に置かれています。では、既に赤字の病院は、より良い医療を提供するために、どうやって最新の機器を手に入れるのでしょうか?

皆さん、画像診断の際に用いられるCTやMRIの値段はご存知ですか?私が去年の夏、昭和大学の放射線科を見学した際、放射線技師の方から、目の前にあるMRIは1億5000万円すると伺ったとき、立派な一軒家が買えるような値段に衝撃を受けましたが、今回調べてわかったのはそれ以上のものでした。

①  GEヘルスケア・ジャパンが2012年2月23日に発売
『Discovery MR750w 3.0T』20億6,000万円 (税抜)→税込で21億6300万円
『Optima MR450w 1.5T』13億6,240万円 (税抜)

②  シーメンス・ジャパン(株)が3月8日より発売
『MAGNETOM Spectra』15億円(税抜)

ITの医療情報ポータルサイト『in Navi』からのもので、正確な情報かどうかわかりませんが、そう大きく値段は変わらないはずです。(http://www.innervision.co.jp/index.html)

一方、国によって定められている診療報酬はいくらでしょうか?
磁気共鳴コンピューター断層撮影(MRI撮影)(一連につき)
1  1.5テスラ以上の機器による場合1,330点
2  1以外の場合1,000点(http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken12/dl/index-014.pdf)

ここでテスラとは簡単に言えばカメラの解像度のようなもので、数字が大きいほどより鮮明になります。
例えば、GEヘルスケアジャパンの最新でより高性能の20億6000万円するものを正規の値段で買ったとしましょう。この機械を用いた場合どのくらいでもとがとれるようになるのでしょうか?
詳しい製品情報は乗っていなかったので最もいい条件で考えてみました。
MRIの撮影時間は大体30分から1時間です。30分で1回撮れるとして、24時間365日フル稼働で用いた場合、この機械の販売価格を超えるには、9年3ヶ月以上が必要だということがわかりました。さらに、現実にはランニングコストとして、電気代や液体窒素代で年間数百万から数千万かかるそうです。つまり、実際には9年3ヶ月どころではなく、もっともっと長い時間が必要となるのです。10年もたつ頃には、この機械は古いものとなり、ほかの病院から差がつけられてしまいます。患者によりよい医療を提供するために新しい機械を買いたくても、買えないのが病院の現状でしょう。

そして、厳しい経営状況に置かれている病院が、赤字を減らすために次にすることは医療機器の買い叩きです。そのため、日本の企業は育たず、医療機器市場において、日本は6020億円の赤字です。平成22年における医療機器の国内での生産金額は1兆7134億円、輸入金額は1兆554億円であり、合計金額は2兆7689億円で、これに対し、輸出金額は4534億円でした。循環機器系や整形インプラントは約7割が輸入に頼っており、さらに、生体人工心臓弁・心臓ペースメーカー・植込み型除細動器等は100%海外製です。

2010薬事工業生産動態統計表
http://www.mhlw.go.jp/topics/yakuji/2010/nenpo/dl/h22_yakuzi_toukei.pdf
数値表
http://www.mhlw.go.jp/topics/yakuji/2010/nenpo/index.html

3月 08

医療産業がもつポテンシャル2

病院がトヨタを超える日、とはどういう意味か

私が今回このプレゼンテーションをするきっかけとなった講演会をなさった北原先生の著書ですが、先生はこの本の中で非常に興味深いことを言っておられます。 以下引用

わが国の基幹産業といえば、一にも二にも自動車産業でしょう。

 二輪を含む自動車産業の出荷額は約57兆円と、全製造業の2割近くを占めています。就業人口を見ても、運送業などの関連産業を含む全自動車関連就業人口約515万人のうち、自動車製造部門は約90万人、販売・整備部門が約100万人で、自動車製造・販売に従事する人々だけで合計200万人に迫る一大産業です。

 これに対して、日本の総医療費は約35兆円で、雑な言い方をするなら「35兆円産業」ということになります。現時点ではまだ自動車産業に及ばないものの、総医療費が国の方針によってギリギリに抑えつけられていること、しかも、今後ますます増えていくことを考えると、かなり大きな産業であることがわかるでしょう。

 とくに注目すべきは医療産業の就業人口です。

2009年に新型インフルエンザが流行したとき、患者と接する可能性のある医療従事者は優先的にワクチンを接種することになりました。そして、予防接種の希望を募ったところ、約290万人もの希望者が出ました。現場だけでも290万人なのですから、裾野の産業まで含めれば、300万人以上が医療に携わっていると考えていいでしょう。

つまり、国の抑えがなくなれば、今後大きく伸びる可能性のある産業である、と先生は考えたのです。
以下、厚生労働省のページなどからもってきた医療産業の就労人数です。

医師

286699

薬剤師

267751

歯科医師

99426

看護師

1397333

理学療法士

66256

作業療法士

38097

言語聴覚士

12564

2168126

医薬品卸売業:医薬品関係従業者数

57,937

医薬品製造販売業:医薬品関係従業者数

160,532

医療機器販売業関係従業者数:医療機器卸売業

13,654

医療機器関係従業者数

91863

323,986

総計

2,492,112

「患者を治す」ということに携わるひとを思いつく限り挙げて調べてみました。
先生のおっしゃる数字には達しませんでしたが、
作業療法・理学療法・言語聴覚士の数が正確には登録されていないこと、
病院内にはほかにも、清掃員、ソーシャルケアワーカー、事務員など他にも多くの
職種の人々がいることを考えると、
先生のおっしゃっていたことはそこまで飛躍しすぎた話ではないでしょう。

3月 08

崩壊から日本を救うために

病院を株式会社へ

WHO統計によると、日本人の寿命の長さは世界1位であり、さらに、2000年の時点で健康達成度総合評価において世界1位をとっています。また、カナダに非営利調査団体 the conference board of Canadaが実施した調査において、総合評価で1位を獲得しています。

http://www.who.int/whr/2000/en/whr00_en.pdf

http://www.conferenceboard.ca/hcp/Details/Health.aspx

日本の医療は世界でもトップクラスなのです。しかし、この国の制度のせいで伸び悩んでいます。これを解決するにはどうしたらいいのでしょうか?
医療法人を縛る法律を廃止し、病院を株式会社にしたらどうでしょう?
企業は有望な病院に投資できるようになり、病院は新しい機械を買えるようになり、よりよい医療を提供することができるようになります。確実に今より医療費は高くなるでしょうが、先ほど述べたように、採算を考えていない今の日本の医療費の方が異常なのです。

もちろん、完全に資本主義化することによってアメリカのように高額な医療費を請求され、貧困層が医療を受けられないというような状況になってはいけません。それを防ぐのに、富士通が開発した次の技術が役に立つと思います。

フィンランド・社会保険庁の「国民電子カルテネットワーク」

FUJITSU TVCM30秒

この国のお医者さは、
この国のみんなのことを知っている。

これは、各病院や薬局で個別に管理していた患者さんのカルテや処方せん履歴を、国中の医療機関で共有できるようにシステム化した、フィンランドの電子カルテネットワークです。これにより、医療機関は初診の患者さんであっても、健康保険カード(KELAカード)による本人確認ができれば、過去の通院履歴や病歴、処方箋などを参照することができ、それに基づいた迅速で的確な診療を行うことが可能になりました。また、このシステムは、全医療従事者に発行されるIDカード認証 や電子認証などによって、高度で優れたセキュリティを確保。現在、全国的な運用に向けての取り組みが進められています。さらに、このシステムによって、どの段階でどの医者が誤診をしたのか明確にわかるようになります。

そして、このように個人情報を統合することによって、全世帯の所得や金融資産を把握します。その額に応じて保険料や医療費を支払うようにすれば、収入に見合わない高額な医療費を請求されることなく、医療を受けられるのではないでしょうか。

日本のショールーム カンボジアプロジェクト

・日本発の低コスト高品質の医療をカンボジアでパフォーマンス
・メディカルツーリズムの弊害で、自国で医療を受けられない人へ
・同時にカンボジアで医療を育てていく
NGO日本医療開発機構